若年性腕時計病

腕時計にのめり込んだ若造の時計レビュー・感想

実用性と趣味性の両立

腕時計においては実用性と装飾性は相反する事が多いものです。しかし、腕時計を楽しむにはこの両方必要です。

実用性を最大限まで追求するとチプカシやG-SHOCKなどのデジタル表示、多機能、頑丈なものになります。腕時計のレビューでは視認性と実用性に関してうるさく言ってますが、そもそも実用性だけを極端に追求するならばデジタルを使えばいいだけです。アナログ時計の趣味性が好きだからアナログにしているわけです。自分としてはデジタル表示に装飾的な魅力を感じず、あまり好きにはなれません。自分の考え方とは逆に、デジタルこそかっこいいという意見もあると思いますが、話を簡単にするために今回はこのことは割愛します。

逆に装飾を追求するとガガミラノやフランクミュラーの様な遊び心を重視したデザインになります。しかしこう言った時計は演出が過剰だったり、ミニッツインデックスがなかったりして時間の把握が容易ではなく、時計としての体裁から離れています。良くも悪くも王道で、実用品としての時計が好きなので色物には魅力を感じません。

ここまでは両者の極端なケースを持ち出しました。自分好みの時計というのは装飾と実用性のバランスが取れているものだと考えています。この両者の丁度いいバランスというのも人それぞれです。

自分の場合、この理想のバランスを一番実現しているのがSinn 556です。実用的な側面はその視認性の高い文字盤。そして装飾的な側面は機械式であること。

手持ちの一番実用性重視なのがチプカシ。デジタル表示で多機能なのがなんと言っても道具として優秀です。薄く、軽く、安く、そして何より壊れないので、機能面での文句はほとんどありません。しかしこれほど充実しているのに魅力を感じないんですよ。やはり外装が安っぽかったり、デジタル表示だったりすると所有する満足感を満たし難いのだと思います。現在はあまりにも使わないので、ぬいぐるみの腕に装着しています。

私のコレクションの色物枠はオリエントスターのセミケルトン。スケルトン部分から見えるテンプの振動はインパクトがあり、最大の装飾ポイントです。最初のうちは見るのが楽しかったのですが、慣れてきてしまうとなんとも思わなくなっていました。この躍動感よりも、実用性を重視したデザインに惹かれ始めたのです。そしていつしかスケルトンが視認性を悪くして少し邪魔だなとも思い始めました。よくできた時計なのは間違いないですが、結果的に使用頻度は落ちています。

自分にとってのちょうどいいバランスは複数腕時計を所有してようやくわかり始めるものです。つまり、1本目の時計で理想的なものを選べる可能性はかなり低いです。現にSinn 556を買ったのは時計趣味に目覚めてからしばらく時間が経った後でした。もしすでに腕時計を複数持っていて、これからまた何か買う人の参考になれば幸いです。