若年性腕時計病

腕時計にのめり込んだ若造の時計レビュー・感想

気になる時計 MKII Hawkinge

今回の気になる時計はMKIIのHawkinge。

MKIIはヴィンテージインスパイアの実用時計を販売する海外のマイナーブランドです。Hawkingeはそのラインナップの中で、IWCのマーク11をオマージュしたものです。

 

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<文字盤・針>

フェイスはマーク11そのままにデイトを足した様なもので、オリジナルの意匠をほぼ完璧に再現できています。これとオリジナルを見比べるとインデックスや針の形までほぼ同じです。元のデザインが好きなのでここまで再現してくれるのは本当にありがたいですね。

本家のマーク11はイギリス空軍の支給品の証であるブロードアローがプリントされています。このブロードアローが苦手なので、それがないHawkingeの方が好ましいです。

本家の夜光はトリチウム発光だという事の証明としてTマークがあります。それに対してHawkingeはスーパールミノバで光っています。Tマークの代わりにYマークがありますが、どういう意味かは不明です。

私は機械式にはデイト不要派なので、どうせならこれを取り払ってよりオリジナルに近づけた方が良かったです。

 

<ムーブメント>

セイコー6R15の外販用ムーブメントNE15を搭載しています。秒針停止、手巻き、デイトのクイックチェンジなど現代の基本的な自動巻の機能を備えています。広く普及したムーブメントで信頼性が高く、故障時にいつでも変えが効くのが利点です。

セイコーのモデルでいうと、セイコーカニカルのSARB033に搭載されています。

 

<ケース>

どちらも並べて見比べないと細かいところまではわかりませんが、ケースの造形は本家の意匠を再現しています。ここまで似ているとコメントしづらいのが困りますね(笑)。

本家は帯磁性を持たせるためにインナーケースを入れていますがHawkingeはそれが無いようです。昔の飛行機のコックピットの中は磁気が飛び交っていたので、パイロットウォッチに帯磁性は必須でした。帯磁性を確保する主な方法が軟鉄性のインナーケースを入れる事なのでパイロットウォッチとしての体裁を考えるとインナーケースが無いのは欠点です。しかし、自分はパイロットウォッチの帯磁性ではなくデザインが好きなので気になりません。

ラグの穴は開けられており、ストラップ交換に適しています。

 

<サイズ>

ケースの直径が37.8mmでちょうどいいサイズ。

ケースの厚さは12.75mmで自動巻としては厚め。ここまで厚みを持たせたのはなぜでしょう。

ケース全長は48.5mmでケース径を考慮すると長めです。

ラグ幅は18mmでスタンダードなサイズ。

数字全体を見るととてもバランスが悪いように見えます。特にケース厚が必要以上にあるので厳しい目で見てしまいます。せめて12ミリアンダーに抑えて欲しかったところ。

 

最後に本題の、気になるけど買わない理由です。

最大の理由がケース全長です。自分の細い腕だと48mmが上限なのでギリギリでサイズオーバーです。本家のマーク11も同様にラグが長いように見えるのでそこまで再現したのでしょうか。ケース径が37.8mmしかないのでバランスが悪く見えますし、自分も着けられないので困ります。

もう一つはケース厚。ダイバーズとかでもない限り、自動巻きは11か12mmに収まるのですがそれをオーバーしています。ケース径が平均サイズな分、余計に厚く感じてしまいそうです。これがクロノグラフや軟鉄製インナーケース入りだったら評価は変わりますが、残念ながらただの自動巻きです。同じムーブメントを搭載したセイコーSARB033は厚さ11.2mmまで抑えているのでどれほど不必要に厚いかがわかります。

IWCパイロットウォッチは確かに好きなのですが、自分が特に気に入っているのはマーク12と15であり、実はマーク11はあまり好みではありません。12に比べて、11はどこかスタイリッシュさに欠けていて、少しモサっとした様な印象があるからです。12にあるデザインのシャープさが足りないと感じました。なのでできれば12のオマージュウォッチも出して欲しいです。

実物を確認できないと本当に欲しいかどうかはわかりません。そして販売品の実物はまず日本にないでしょうし、海外のどこに行けばいいかもわかりません。いざ着けてみたら思ってたのと全く違うなんていうのも全然あるので、原則としてはどの腕時計も買う前に実物を見るべきです。

誰もやらないマークシリーズのオマージュを実現したのはいいのですが、サイズの問題で大きく評価を落としてしまった一本です。オマージュといっても中途半端に真似ただけでなく、細部まで再現しているので本家へのリスペクトがしっかりと伝わってきます。