若年性腕時計病

腕時計にのめり込んだ若造の時計レビュー・感想

ノモス チューリッヒ レビュー part3

 

ケース

使ってて気になったのがケースの傷つきやすさです。こちらとしては細心の注意を払って着用しているはずなのに、へこみや小傷が簡単についてしまっていました。特にベゼルの角が立っていたので、へこみになりやすい部分です。高級感のある時計にはあまり傷をつけたくないので、すぐに傷がつくのはマイナス点です。この様な耐久性の無さは、ガシガシ時計を使う自分には合わない要素でした。

全面鏡面仕上げなのも自分の好みに合わず、小傷が目立つのに拍車をかけていました。この時計をして、初めて鏡面仕上げへの苦手意識を自覚しました。サテン仕上げベースの時計を好む様になったのは、これがきっかけかもしれません。定価50万前後の時計にしては仕上げのレベルもそれ程高いわけでもなく、同じ価格のIWCの方が何枚も上手な印象です。

ラグが長く、腕に沿うように曲げられていません。ラグが手首から浮くようになってしまって、不恰好になってしまいます。ラグが曲げられていないのは、手首が大きな人を想定しているからでしょうか。しかし、ラグの形状は万人に合う様に作って欲しいです。これは深刻な問題で、これを手放した最大の原因です。さらにラグが長い分、革ベルト装着時にフラッシュフィットに大きな隙間が生じ、不格好になります。手首の上で視覚的にしっくり来ない時計は、どれだけ高価でも長続きはしないと気づきました。

風貌は無反射コーティングがなされており、どの角度でも用意に時間を視認できます。文字盤、針、この風貌の組み合わせによって最高の視認性を実現します。ベゼルがとても薄く、ガラスの面積が時計のフェイスのほとんどを占めています。これほどの大きいドーム状のサファイアガラスだと、かなりコストがかかってそうです。

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あまり目立たない特徴として、ケースのリューズ付近が隆起しています。結果としてリュースが出っ張っています。手巻き時には掴みやすくていいのですが、見慣れないので少しいびつです。出っ張っている分リューズが手の甲に当たりやすく、少し気になっていました。

防水は3気圧で、現代の時計としては最低限レベルの性能です。ノモスのドレスウォッチはほとんどこの数値で、これ以上の性能を持つ製品はクラブやタンジェントスポーツなどです。日常生活で滅多な事では水分の侵入はありませんが、不安が残るのであともう少し性能を上げて欲しいです。

 

総括

時計好きになって初めて買った高級時計で、一年間ほぼ毎日間着けていたくらい気に入ってました。これが持つ文字盤の美しさと優れた視認性に魅了され、とても充実した時計ライフを過ごせました。その影響か、この頃が一番腕時計を楽しんでいたかもしれません。

しかし、高級時計に傷つけを付けない様に常に注意しながら着けていたのですが、それがストレスになっていました。それに加えてラグ造形の問題もあり、手首との視覚的不一致が強かったのが致命的になりました。どれほどいい時計でも、自身と合わなければいずれ手放す事になった例でした。

このブランドに関しては「ノモスは外装の為の加工ではなく、どちらかというとムーブメントに力を入れるメーカーなんだ」と感じました。方向性としては私が求めるのと大きく異なるので、今後このブランドから買うことありません。ですが、楽しませてもらった思い出もあって好きなので、新作などのブランドの動きには注目しています。

初心者にとっては若干扱いにくい時計で、同じ値段で無難にオメガかIWCを選べばよかったと後悔もしました。この様に文句はありつつも、持っていてとても楽しい時計でした。自分の方向性を強く決めるきっかけになった、いわゆるターニングポイントの様な一本でもあります。