若年性腕時計病

腕時計にのめり込んだ若造の時計レビュー・感想

Chronosport 3752 レビュー part2

ムーブメント

f:id:SOLmachina:20200307103429j:image

機械はバルジュー7733という物で、購入に至った大きな要因です。ブリッジがハートの様な形をしているのが特徴で、アンティークを漁っている方なら何度かこの外観を目にしたのではないでしょうか。やはり手巻きクロノは見た目で楽しめるのも魅力です。

今となっては生産されていない機械である分、今のうちにいい状態の物を確保する意図もあります。バルジューといえば、現在では汎用クロノグラフムーブメントとして有名な7750があります。7733はバルジュー社がETAに吸収される前に生産していた手巻きクロノグラフムーブメントです。

こちらの機械に魅力を感じていたのは、手巻きであるが故の薄さです。自動巻き機構がない分、スペースの節約になり、ケースの厚みが抑えられます。そしてアンティーク内で探していたのは、現代の時計に手巻きクロノグラフがないからです。なくはないのですが、主に雲上ブランドになるので、予算上絶対選択肢には入りません。

巻き上げは、手巻きムーブメントで味わえるキリキリとした子気味のいい物。小さな要素ですが、愛好家が手巻きを選ぶ理由でもあるでしょう。しかし、巻き上げ時にプッシャーが指の動きを邪魔し、かなりの巻きづらさを感じます。この時の不便さを経験して、当時の人間達がどれほど自動巻クロノを待ち望んでいたのか身をもって感じたかもしれません。

精度は日差10秒以下に収まっています。現代の機械式時計としても十分に通用する性能です。アンティークの機械だと考慮すると、素晴らしい精度でしょう。何十年経ってもこれ程の高性能な機械なのでますます現代での再生産が望まれます。

残念ながらハック機能はなく、細かい時間調整はできません。これではせっかくの高精度も存分に生かしきれませんが、古いムーブメントは非ハックの物が多いので仕方ありません。時分針の先端が平らなのもあり、分針が指している場所も正確に分かりません。クロノ秒針を永久秒針代わりに使うこともできますが、アンティークという事もありますし、機械への負担が大きすぎるのでやらないべきでしょう。

プッシャーの押し心地は今までで一番苦手です。バネの反発がかなり強く、押し込むのにかなりの力を要します。他ブランドの同じ機械を搭載した時計の押し心地とは違ったので、個体によってかなり違いがあるのかもしれません。少し指が痛くなる事もあるので作動時の喜びはあまり感じません。

駆動音は今まで所有したものでダントツに大きいです。どれくらいかというと、懐中時計と同等の音の大きさです。静かな部屋にいると必ず聞こえるので、集中力の要する作業や睡眠の邪魔になるのが非常に煩わしいです。うるさくならないようにできるだけ駆動させないか、タンスの中に仕舞っています。これが原因で、いざ着けたい時に動いていないか、タンスから取り出すのが手間なので着用率の低下に繋がっています。この大きな音の要因は技術者ではない私には不明です。見当をつけるとしたら、クロノグラフを動かすための強いトルクによるものかもしれません。

テンワが非常に大きいのが分かります。手持ちの時計より2割ほど大きい感じがします。テンワが大きいと精度が安定するという話を聞いたことがありますが、小さいコマより大きなコマの方が安定するみたいなのと同じ原理でしょうか。この特徴は同じバルジューである7750でも確認できますが、7733から受け継いだ特徴かもしれません。

 

ここで一旦区切ります。続きはpart3にて。