オメガ スピードマスターリデュースド3539.50 レビューpart3
<ケース>
スピマスは独特な形状をしているのですが、こちらも例外ではありません。ケースを横から見ると、ベゼルの部分だけ浮いて出っ張っているように見えます。これの悪いところは、ベゼルをぶつけてしまいやすく、へこみやすいところです。ベゼルをぶつけてへこんだ跡を状態の悪い中古品によく見ます。こういう側面では耐久性がないと言えるでしょう。さらに、盛り上がった風防も相まって、よりいびつな形に仕上がってます。自分の中では勝手にこの形を「UFO」と呼んでいます。冗談とか皮肉ではなく、初見で本当に「UFOみたいだな」と思ってしまいました。
ケースの仕上げは全体的に物足りないです。サイドは粗めのサテン仕上げで、もう少し細かい方が好きです。一昔前のオメガが「外装は今ひとつ」という話を聞きましたが、ここでその一部を実感しました。
ラグの形もこれまた独特で、自分の文才ではとても簡単に文字におこせません。ロレックスなどに見る素直なラグではなく、線がねじれて下にストンと落ちる感じです。ラグの曲線も滑らかに下に向くのではなく、崖のように突然下に落ちます。この形状は現行品のオメガでもよく見られます。
竜頭ガードが上下に渡ってとても広くなっています。これにより、正面から見るとわずかに左右非対称に見えます。そしてこれは竜頭を覆ってしまっているので、巻き上げる時に邪魔に感じてしまいます。
これらの要因で、この時計のケースはかなりクセが強いと言えます。買う前に既にわかっていたことで、つけていくうちになれるかもしれないと思い、勇気を出して買いました。結果的に、このケースの形状を好きになるまではならなくても、慣れることができました。
<手放した理由>
まずクロノグラフとしての使い勝手の悪さです。私はクロノグラフを頻繁に使用するので、これは大きな欠点になります。分積算計の針ズレは経過時間を確認する時に大きな障害になっていました。実際は2分半しか経っていないところを針は3分を指していたり、しっかりと時間を計れないのが残念でした。スタート時に秒針の挙動がおかしいせいで、正確に計測ができないのもいただけません。秒単位まで計測する必要性はないといえばないのですが、明らかにクロノグラフとして完成度の低いものを見てしまうと、愛も冷めてしまいます。全ての2894-2搭載機がこうでないことを祈ります。
時間調整の難しさも大きな欠点で、手放した最大の理由です。複数腕時計を持つ者としては時間調整の容易さは必要な要素です。この時計を使わない日ももちろんあり、そうなると止まってしまうので次に使うときに時間調整をしなくてはいけません。その時、時間調整がかなり難しいのであまり手が伸びなくなっていました。こういうところはたとえ試着できたとしても見落としやすいところなので、単純にハズレの個体を引いて運が悪いと割り切るしかないですね。
外装の仕上げが思ったよりよくありません。文字盤の方は見ていてとても所有感が満たされていたのですが、それに比べて外装を見ることに喜びを感じられませんでした。しかしここは私の考えが甘い部分があります。「あのオメガだから仕上げもいいほうだろう」という根拠の薄い仮定をし、期待しすぎました。これは私のリサーチ不足ですね。
値段が値段なので仕方ない部分もあるのですが、これらの欠点をすでに知っていたら買わずに済んだのかもしれません。そして、これよりも好きな時計を見つけてしまい、費用を捻出するために買取に出しました。
スピードマスターを持つという願望を満たしてくれた時計なので、なんだかんだで好きな一本だったかもしれません。そして、手放したのを少しだけ後悔することがあります。それくらいスピマスは不思議な魅力がありますね。
総括するとこの時計は手ごろにスピードマスターを所有して見たい人や小さめのクロノグラフが欲しい人にオススメできる時計です。逆に高性能のクロノグラフが欲しい人、仕上げにこだわる人、スピードマスターの独特な造形に苦手意識のある人にはお勧めできません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。