若年性腕時計病

腕時計にのめり込んだ若造の時計レビュー・感想

中華製手巻きクロノグラフムーブメント ST19

以前手巻きクロノグラフに普及してほしいと話しましたが、マイクロブランド界隈で広まってるのがこのST19というVenus 175の中華コピームーブメント。アンティーク愛好家ならご存知かもしれませんが、Venusはかつて存在したムーブメントメーカーです。その中でVenus 175は手巻きクロノグラフの名機として知られています。コピーではありますが、違法性はありません。

やはり手巻きクロノグラフなので自動巻より薄く作られています。厚さは5.85mmで、バルジュー7750の7.9mmより2mm以上も薄いです。厚さだけ見ればST19搭載機はケース厚12や13mmを簡単に実現できる様に思えます。厚めの時計が苦手な私にとって大きなメリットです。

しかしこれを搭載しているからといって、簡単に薄さを出せないようです。マイクロブランド(あるいは外注先)のケース設計ノウハウに限界があるからか、ケース厚が高い事が多いです。もしメジャーブランドがこの機会を搭載した時計を作ったら、薄目に作れるかも知れないと思いました。f:id:SOLmachina:20190823185118p:plain

装飾や仕上げは目の保養になりません。コートドジュネーブが施されていますが、悪い感じにテカテカしていて好きではありません。青焼きネジを模した青塗りネジもかなり安っぽく見えます。そしてこれを採用した時計に限って裏スケ率が高く、ありがたみを感じません。ムーブメントを見せるならガッツリと質の良い装飾を施すか、一切装飾をしないかにして欲しいです。中途半端な装飾をしても見苦しくなるだけですし、下手な装飾がなくても構造が見れるだけで満足ですから。

コラムホイール制御のおかげか、プッシュボタンの押し心地は良好です。個人的に一番好きなデイトナに次ぐ感触の良さです。これも名機たる所以なのでしょうか。

まだまだ課題はありますが、昔の名機の手巻きクロノグラフムーブメントが現代で普及してくれるのはとても喜ばしいです。ST19には今後も多くの実績を積んで、信頼性の高いムーブメントになってほしいです。